明治神宮の森は100年後を考えて作られていた
毎年、初詣で賑わう「明治神宮」。息子の七五三でもお世話になった。「明治神宮」って「明治天皇」が祀られていることぐらいは分かるが、意外と何も知らない。そこでちょっくら調べてみたけど、なんと100年先のことを考えて木を植えたんだって。元々はこんな荒れた土地だった。「森」が元々あったわけではないのだ。↓
ビルなどの変わり様もすごいが、なんにもないところに木々の茂りっぷりが半端ない。
この100年先を考えた森の計画は4段階に分かれている↓
第1段階は、まずは見た目として神社にふさわしい森を形づくるため、“ 仮設の森”をつくる工程である。主木として高くそびえる上冠木に、在来樹種であるアカマツやクロマツ、あるいは全国から届けられた10 万本の献木から大きなものを選んで植える。マツの間には成長の早いヒノキやサワラ、スギ、モミなどの針葉樹を植え、さらにその下に将来の主木となるカシや シイ、クスノキなどの常緑広葉樹を植える。ちょうど敷地の中心付近にアカマツの林があり、御社殿の位置はそこに決まった。
第2段階では、林冠の最上部を占めていたアカマツやクロマツが、下から伸びてきた針葉樹に圧倒されて次第に枯れていく。数十年後には、台頭してきたヒノキやサワラなどの針葉樹が最上部を支配するようになる。在来樹種のマツは数カ所に点在するだけになる。
続く第3段階では、とうとうカシやシイ、クスノキなどの常緑広葉樹が林相の中心を占め始める。その間に、ヒノキ、サワラ、スギなどが混生し、まれにアカマツやクロマツ、ケヤキなどが見られるといった状態になる。
最後の第4段階では、カシやシイ、クスノキなどが主木としてさらに成長するとともに、2世代目の木が育ち、常緑広葉樹林が広がっていく。こうして主木が人手を介さず、自ら世代交代を繰り返す「天然林相」に到達したとき、森は完成する。
(引用:日本人が作った森 「明治神宮」 後編 | ナショナル ジオグラフィック(NATIONAL GEOGRAPHIC) 日本版公式サイト)
単純に木を長生きさせるではなくて、枯れて、それが土の栄養となり、他の種の木が支配していき、そしてまた枯れ...それを計算し植えて今に至るわけですね。
なので落ち葉も、ちゃんの樹の根元に返してあげるらしい。掃いてゴミとして捨てているのかと思っていました。
ちなみに数年前に歩いていたら狸に会った。こんな都会で狸に会うとは思いもせず。なにもないところから野生の狸が住むような森なるまで、計算しつくされた明治神宮。一〇〇年百合の先人の知恵。すごいわ。
明治神宮の森は、関東大震災や戦災をも乗り越えて、今の姿があるのです。日本人は古来、森を守り、また森に守られて暮らしてきました。森を後世に伝えたいという思いは、この国に住むすべての人の祈りなのかもしれません