細菌大戦争 -ピロリとの出会い編-
新たな出会い、
新たな生活、
新しい人生の始まる4月。
そう、僕は出会った。
あの「ピロリ」に。
彼の名は「ヘリコバクター・ピロリ」
通称「ピロリ菌」
可愛らしい名前だ。
可愛らしいのは名前だけ、
彼が胃にいることで、確実に胃がんの階段を登るらしい。
彼との出会いのキッカケは
昨年、バリウムを飲んだことだ。
ドクターは軽い口調で僕に言った。
影絵に何か恨みでもあるのかと思うこのセリフ。
藤代清治さんが聴いたら、どう思うだろうか?
影絵をナメんな!!
1日何も飲まず食わず、吐き気に耐えながら検査し、
しまいには下剤を飲ませ、白子を産ませる。
こんな拷問嫌だ。
それ以来バリウムがキライになった。
その後、仕方なく胃カメラを飲んだが、
予想以上の厳しい拷問。
泣きながら霞む意識の中で聴いた言葉。
「うーん、荒れてるね」
慢性胃炎だった。
「ピロリ菌検査したら?」
とドクターに言われたものの断った。
なぜだかはわからない。
お財布の中に1,000円しか入ってなかったからかもしれないし、
彼と戦うには僕がまだ未熟すぎると察知したのかもしれない。
そして今年もまた同じ結果だった。
また「ピロリ菌検査したら?」と言われたのだ。
珍しく素直に血液検査をした。
なぜだかはわからない。
お財布の中に10,000円が入っていたからかもしれないし、
時が来たのかもしれなかった。
もち陽性。
彼がいつから僕の胃にいるのかはわからない。
上下水道の発達していない、衛生上あまりよろしくない場所で
暮らしていると感染するらしい。
どうやら橋の下で拾ったと親に言われたあの言葉。
あながち嘘ではなさそうだ。
それなりに親に育ててもらったという記憶は埋め込まれたものかもしれない。
トータル・リコール...
彼には得意なことがある。
100mを5.5秒で泳ぐらしい。
はえーよ。
しかもバックも出来るらしいじゃねーか。
戦わずして完敗だよ、お前には。
8月の夏休み前に、医者に行って処方してもらった。
一週間、毎日朝晩飲み続けろ、酒は控えろ!とのこと。
明日からは夏休み。
酒を飲まない夏休みだと!?
馬鹿言っちゃイケないぜ!
ということで休み明けから飲むことにした。
神様は見逃さなかった。
夏休みの7日間のうち、6日間が雨という仕打ちを受け、悔い改めた。
つづく